≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
『下書き』を閉じると『未送信BOX』にもズラっとオレ宛てのメールが並んでいた

勿論 オレには送られていないメールだ

そこには 声に出来ない 伝える事も出来ない


『樹花の想い』が綴られていた

オレを重くしないように 必死に耐える樹花の心境がこと細かに書かれていた


本当なら 側に居て オレが聞いてあげれていたなら

樹花はどんなに 救われただろう

毎日毎日・・・ オレの『わがまま』の為に 樹花がどんな思いで過ごしてきたか

その内容を見て オレがどんなに『身勝手』だったか 思い知った

胸は張り裂けそうになり  肩は胸のあまりの痛さに耐えきれず 震えが止まらなかった


涙が止まらない・・・



それは オレだってそれなりに苦しんだ

第一志望の会社に就職して 夢に描いたとおりの人生を歩めると

上司にどやされながらも 自分なりに自負していた

しかし 日々… 成長していく『霊能力』の中で

つい うっかり

同期入社の女の子の 最近亡くなったその子のおばあさんが

その子に伝えてほしいという事を その子に伝えたら

スピリチュアル好きの彼女は 感動して

『内緒にしておく』

と言いながら みんなに言って回った

オレは 会社に着いても 仕事が出来る出来ないではなく

『違った意味』で 一目置かれるようになった

これがイヤで 高校・大学とオレの能力の事を隠してきたのに

最近の 『スピリチュアルブーム』でつい

軽いノリで言ってしまったのだ


ブームも手伝ってか 会社中の人間が オレの存在に興味を持ちだした

社内で すれ違う人皆が オレの視線を意識した

毎日 休み時間には 誰かに呼び出され

出社前と出社後の オレのロッカーの前には

いくつかの メモが 内容は他人に見えないように貼られていた

メモの内容は 大概こうだ


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