≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
恐怖で足がガタガタ震えた 後ろの子供達はすごい力で剛を押してきた

「やめてーーー! 死にたくない!」


フッ・・・


剛の右目がうっすら 開いた

左の顔の中からと外からで 一瞬たりとも緊張を緩められないような

表現出来ない程の激しい痛みが 剛を襲っていた


唯一見える 右目で病室内を見回した

うっすらと 白いカーテンが光りを吸収していた

朝だ・・・

母親は今日はいなかった


痛み止めを打ってもらおうと 剛は自分でナースコールを押した


『不思議な・・・でも・・・懐かしい夢だったなぁ・・・

昔は兄貴と あぁやって遊んだっけ・・・ いじめられる事も多かったが

イジメっ子からもよく助けてくれたなぁ・・・』


ケガの痛みは 昨日と変わらず 激しく痛みはしたが

気が狂いそうな昨日までとは違い 心は穏やかな気分だった


パタパタパタ… コンコンッ ガラッ


「剛くーん 痛み止め?」


「ハ・・・イ」


いつもの看護婦だった


「うん!じゃ注射するね」


元々注射の得意でない剛だったが 今のこの顔の『痛み』に比べたら注射の痛みなど

『イタイ』と感じもしなかった


「今日と明日は お母さんご用があるんですってね・・・

剛くんも 少し寂しいと思うけど 辛くなったらまたナースコールしてね

すぐ行くからね」


剛は頷く代わりに まばたきを1回してみせた


その間も 剛の頭の中で さき程の夢の光景が広がっていた


滑り台の上からどんどん押す子供 居なくなった兄

急に寂しさがこみ上げてきた


『死にたくない!』
< 250 / 307 >

この作品をシェア

pagetop