≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
オレは ビクッ!!っとした


「中道さん…?」


オレは 霧で目の自由が利かない中 オレのすぐ隣から聞こえてきた声に話しかけた


「見つかったら大変です!足音にも注意して 枝など踏まないように」


「あっ は・・・い」


オレは足下を見たが 足下さえ霧が濃くて見えない


すると別の声がまた小声で喋った


「この山を越えると わたくしたちをかくまって下さる村があるんですね」


・・・さっきの 女の人の声だ


『オレに話しかけたんじゃないのか…』


オレは オレの存在を無視し続けられている事に 少々不愉快ではあったが

なぜか2人の会話が気になった


ポツッ ポツッ ポツッ ポツッ


「はっ 雨がひどくなる前に さっ早く!」


「はい…

松丸!母の手を離すのではありませんよ!」


「はい 母上!」


『この人たち 子連れだったのか・・・』


ザザッッ・・・


「ちっ 降ってきやがった…  早くあの楠木の下まで行きましょう

あの下が少し雨宿りできそうです!」


「分かりました!松丸 おいで!」


母親は そう言って子供を抱いて山道を登っていた

霧はいつの間にか晴れ オレは目が見えるようになっていた

オレは 3人が気になり後を追った


楠木の下へ近づくと 3人の足が止まった

楠木の下では 数人の武士の格好をした男たちが先に居た


「はっ・・・おまえたちは!!」


女の人は 山を案内していた男を キッと睨んだ

よく見ると この女性も着物を着ている… 子どももだ…
< 259 / 307 >

この作品をシェア

pagetop