≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「高野殿!御方様のおっしゃる通りだ… まだ年端もいかぬ幼子じゃ」


「瓜生…」


高野という男の後ろから出てきたのは 『瓜生』という男だった


「おぉ・・・瓜生!助けにきてくれたのじゃな!!」


女性は 現れた希望に笑みを浮かべた

オレも その『希望』にかけた

しかしそれは 無惨にも打ち砕かれた


「高野殿が手を下すまでもないということ!某が全て片付けましょう」


「おぉ そうか!では 瓜生お主に任せよう

坂本殿も 其方の働きをお喜びになるぞ」


『・・坂本・・殿・・?』


女性の息が荒くなった

たった今見いだした『希望』が

『絶望』に変化した瞬間の気持を

どう言葉に出来るだろう

オレの息も荒くなっていた


「瓜生・・・お前だけは・・・お前だけは信じていたのに・・・・・」


女性は 悔しさに震え 声にならない声を出していた

女性の抱きしめた子供が口を開いた


「母上を苦しめる者は わしが せいばい いたす!」


「松丸!おやめ!!」


子供は いまや立つことさえ出来ないほど力を落としている母親に代わり

男たちを睨んでいた


瓜生という男がジロジロと おかっぱの男の子を見ていた


「『せいばい』?・・・御方様 お聞きになりましたか?

ご立派に育てられましたな! さすがは気丈な御方様のお子じゃ

逃げ隠れしている 殿とは違いまするなぁ…」


「瓜生・・・後生じゃ・・・」


女性は座り込み 激しく降りつける雨の中 地面に頭を付けて頼んだ


オレは もう見ていられなかった

オレが行ったくらいで どう出来るかは分からない でも・・・

なんとか・・・ なんとかあの場所に行かなければ・・・・・


しかし・・・


『なんで行けないんだ!!』
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