≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「御方様、松丸様の目をご覧下され・・・いい目をしておられる・・・

このお子は きっと立派な殿様になられるであろうなぁ・・・

しかし… 

そうなって頂いては困るのですよ」


「わたくしが この子に言うて聞かせる・・・

『瓜生が命を助けた』と!」


「いいや 御方様・・・

松丸様は 決して忘れませぬぞ

その睨んでおられる目を見ると

某の事は 忘れますまい


幼き頃を思い出しますなぁ・・・

権力争いに敗れ 散っていった父の無念を


子はいつか 大人になる・・・ 

そして『復讐』する・・・


手前どものように!・・・ごめんっ!」



「瓜生っっ・・・!!」


「やめろぉーーーーーーーーーっっっ」



オレは目を閉じ 力の限り叫んだ・・・


「なんでだ・・・なんで止められなかったんだ・・・」


オレは 悔しくて やりきれなくて 泣いた

泣いて泣いて 自分の無力さに呆れた



とそこに 男のすすり泣く声が聞こえた


雨もいつの間にか小降りになっていた


オレは ゆっくりと目を開けた


「グスッ・・・うっ・・・グスッ・・・」


「おい いい加減泣くのをやめろ 島田!」


「中道・・・お前は 平気なのか・・・?

こんなに小さい仏さん・・・

こんな暗い山に 埋めるだなんて・・・」


「・・・・お母上と一緒だ・・・寂しくはないだろう・・・」


「されど・・・されど・・・・」


「島田泣くな!わしたちは 高野様のお言いつけで『亡きがら』を埋めているのだ

今 この亡きがらが見つかっては困るのだ

高野様 瓜生様 の言いつけに背いては 家族さえどうなるか分からんのだぞ」


「ぐっ・・・・」


島田という若者は 涙を呑み作業を続けた



「・・・・さぬ・・・・・」
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