≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~

お祓いの『実態』

ゴリッ!

『うぉっ!なんか踏んだ…』

オレは 踏んづけて 少し砕けた『何か』を手で確認した


…なんだ 昨日キャンドルサービスで使ったローソクか…

6月下旬といえど 朝5時前の 宿泊施設の中は

カーテンで締め切られていると 結構暗かった


キャンドルは 全部回収だろう…

誰だよ持ち出したの 全く…

こんなの 小津に見つかったら また『犯人探し』が始まって面倒だ

オレは 使いかけのキャンドルを そっと 上着のポケットにしまった


オレは 誰かに殴られて『ノックアウト』されたようなポーズで寝ている

班長の 太田と 『気を付け!』状態で寝ている 同じ班の 横山の

互いの足の間を つま先で ソ~っと 触れないように

足を 抜き差し しながら

大広間の出口へと向かった

この宿泊施設では 男子は 板張りの大広間 

女子は 畳の和室と分けられていた


大広間のドアノブを回し 少し開けると キィ~ッ という音がしたが

夜中 時折 トイレに出る奴が居たため 特に その音に敏感になる

奴はいなかった

大広間のドアをパタンと閉めると少し長い廊下があり その真正面に和室がある

そこに 女子は寝ている

本当なら ハルも その中に居るはずだが

今はもう 自宅で休んでいるだろう

『ハル…大丈夫かな…』

そんな心配をしながら 廊下の途中にある 職員部屋の様子をうかがった


誰かが 出てくる気配はない 


時計を見た 「4:45am」

『…もう 行ったのかな…』

あと1分ほど 日村 令子の気配を待ったが

職員部屋のドアに 動きはなかった


外に居たりして…

オレは脇に抱えていた スニーカーを

素早くオレのつま先に履かせ

そのまま ズルズルと かかとに靴をはめ込みながら

大きなガラス張りで作られた 扉を押し開け 宿泊所を出た











 



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