≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「は…はぁ?…オレに言ったんですか?」

日村令子は長い黒髪を少し後ろに掻き上げると

また「ふっ」と笑い

オレに近づいてきた


オレはつい後ずさりをしてしまった


「えぇ あなたに言ったのよ 奥村くん」


な…なんでオレの名前…


日村令子の視線の先はオレの胸にある刺繍の名前を見ていた


…そうか、これを見て名前が分かったのか…

落ち着け…何…ビビッてるんだ…


「な…なんの事ですか?全部使っていい…って…」


日村令子は、また「ふっ」と笑うと


「あら なんの事だか分からないかしら?
…まぁ いいわ
ごめんなさいね 突然呼び止めて」


そういうと さっさと立ち去って行った

『まぁ いい』って何だ?

やはり カンジ悪い…


ただ、通り過ぎる際


「いずれ分かるわ」


と、日村令子が言い残した気がした


「全部使っていい」


…もしかして 昼飯代の千円の事だったりして?


いや待て…

なんで 日村令子の言葉とオレの千円が結び付くんだ

ちょっと強引だな…


だけど…昔もこんな事あったな…
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