≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
オレは 島田さんの 込み上げてくる『怒り』を

目の当たりにして タジタジとなった


『霊』の恨みも恐ろしいが 『人間』の恨み

も恐ろしいものだと思った


確かに これだけの『情念』を持った人間が

『肉体』をなくしたら この『念』は

一体どこへいくのだろうか



日村 令子のいうように 『成仏』などせず

その『念』を向けられる『対象』を探し

さまようのも・・・ 理解できた


「それに 瓜生だって!もう少し早く

病院に運んであげていれば・・・・!」


中道さんが 島田さんの肩を 

『もう 分かったから・・・』

というように ポンポンと2回たたいて

その手を そのまましばらく

島田さんの肩に乗せていた


「・・・??瓜生・・・さんは 助かったん

・・・ですよね・・・?」


オレは 先ほどの話しで その後の瓜生さんについては

何もきいていなかったのを 思い出した


「瓜生さんは 『植物状態』になったの」


今まで話しに入ってこなかった 日村 令子が

2人の背後から 声を発して 話しに加わってきた


そして 目の前の2人の 1歩手前まで

こちらに 近寄ってきた

日村 令子は 両肘を抱えるようにして

腕組みをして立っていた


「もっとも・・・

今は 意識を取り戻して生活されているけれど

自由に歩き回ったりは 出来ない状態でいるの

あの後 病院に搬送はされたんだけど

中道さんたちが 病院に到着する約3時間の間に

また 昏睡状態に入ってね

何しろ1970年代だったから 当時は 

今ほど救急医療も進んでいなくて・・・

病院に運ばれた後のケアが

今ほどは出来ないでいたのよ」
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