天狗の嫁入り

「何してるんだ？」
「っ！？」
「その手を振り下げてみろ、お前の命はないと思え。」
「水神の、水神の娘だから気に止めるのでしょ？だったらこの娘の力を受け継げば…」
「黙れ。俺は水神の娘だから気に止めるんじゃない。相模っ。」
「はい。」
「幽閉を命ずる、連れていけ。」
「御意。」
青くなり固まってしまった美女を相模と駆け付けた数人の男が部屋から連れだした。

桜はは右肩から腕にかけてざっくり切り付けられ、出血もおびただしい。
ぐったりと壁にもたれ掛かった桜の着物の右袖を裂き肩を出した彗はおもむろに傷口に舌を這わせた。

朦朧とした意識の桜だったが焼けるような熱さと痛さに目が覚めた。

肩から腕にかけて数分、彗が傷口を舐め終わる頃には桜の額に汗が滲んでいた。

薄く血が滲んだ手首を取りそこにも舌を這わせる彗をぐったりと桜は見ていた。

全ての傷を舐め終わる頃には桜は出血のせいか彗の腕の中で眠り込んでしまった。