天狗の嫁入り
「失礼しっ…」
ぴったり閉められた部屋に入ろうと、襖に手を掛けた時だった。
「その命、持って帰れると思うなよ。鼠めっ。」
「誰の命で侵入して来たんや?」
桜の首に数本の刀が触れるか触れないかの距離で向けられた。
桜は固まって動けない。
そんな桜の腕に収まっていた蓮朱が腕を抜け出し、桜を守る様に威嚇をあらわにする。
まがまがしいほどに輝いた赤い目が刀を向けた者を映せば、
手の力が抜けたかの様に、刀が床に落ちた。
「カァ。」
もう大丈夫だと言うように腰が抜けて床に座り込む桜の足に蓮朱は頭を擦りつける。
「桜っっ!!」
バンっと奥の襖を破る勢いで出てきたのは探し人の慧。
震えが止まらない桜に自分の羽織りを掛け、抱きしめると
立ち尽くす臣下に向かい、慧は息を吸い込んだ。
「馬鹿野郎っっ!!!」
「慧様…」
「悪いが相模、後は任せる。」
慧は桜を抱えると羽根を広げ離れをあっという間に去って行った。
それを追うようにバサリと音を立てて飛びだったのは天狗の中でも有名な烏だった。
「今のは…」
ぴったり閉められた部屋に入ろうと、襖に手を掛けた時だった。
「その命、持って帰れると思うなよ。鼠めっ。」
「誰の命で侵入して来たんや?」
桜の首に数本の刀が触れるか触れないかの距離で向けられた。
桜は固まって動けない。
そんな桜の腕に収まっていた蓮朱が腕を抜け出し、桜を守る様に威嚇をあらわにする。
まがまがしいほどに輝いた赤い目が刀を向けた者を映せば、
手の力が抜けたかの様に、刀が床に落ちた。
「カァ。」
もう大丈夫だと言うように腰が抜けて床に座り込む桜の足に蓮朱は頭を擦りつける。
「桜っっ!!」
バンっと奥の襖を破る勢いで出てきたのは探し人の慧。
震えが止まらない桜に自分の羽織りを掛け、抱きしめると
立ち尽くす臣下に向かい、慧は息を吸い込んだ。
「馬鹿野郎っっ!!!」
「慧様…」
「悪いが相模、後は任せる。」
慧は桜を抱えると羽根を広げ離れをあっという間に去って行った。
それを追うようにバサリと音を立てて飛びだったのは天狗の中でも有名な烏だった。
「今のは…」