チカラ
幼いころから社交的だった俺は、人の過去を知れると思ってもそれを遊びの道具にはしなかった、と言えば嘘になるがたまに人の過去を勝手に覗いていた。
しかしあるとき僕は気付いた。人の幸せだった過去や楽しいと感じたときの過去を見ると自然に自分の体は軽くなるのだった。
逆に辛い過去や苦しいと感じたときの過去を見ると、俺の体に激しい痛みを感じたのだ。
苦しみや辛さが重ければ重いほど自分の体が傷付くのだった。
それから人の過去を見るのを辞めた。けどちょっと手が相手の頬を触れただけで過去が見えてしまうから、見ることを避けるのは意外と大変だった。