抵抗
K駅からは、人があふれるようにして乗ってきた。目敏く座席をみつけて、すべりこむようにして座る者、狭い座席を奪い合う者。なんとも戦場のような、物の奪い合いだった。
和己の前に二十代女性が立った。女性は吊り革にぶら下がっている。化粧が濃いのか、香水をつけているのか、和己ははじめての化粧の臭いにクラクラとなった。そのとき、下半身に変化が起きたことを知った。これは、いまはじめてのことではない。以前から、何度も経験していることだ。風呂に入ったとき、湯をかけると、よくこうなる。
電車は大きなカーブをした。そのきと、吊り革女性の手が和己の太股に触った。そして、女性は顔を和己に近づけた。和己はパンツの中でなにかが爆発したことを知った。しかし立ち上がることはできなかった。それでも、余震があり、何度も何度も爆発した。
「すみません。」女性は恥ずかしいのか、小声で和己にあやまった。平静を取り戻した女性は、なにもなかったようにして、吊り革を持った。和己は焦っていた。<隣の人に臭いが流れへんやろか。ばれてないやろか。>と自身の失敗を恥じて処理を心配した。
やがて電車は阿倍野橋駅についた。両方のドアがあき、乗客は我先にとホームへでる。そして走りだすのもいる。和己はトボトボと歩き、糞をもらした子供のように歩いた。
便所の中で下着を脱いだ。予想したように、濡れて酷いことになっていた。トイレットペーパーを何重にも手に巻いて、下着の汚れをふいた。ある程度の汚れをとると、ドアをドンドン叩く奴に遠慮して外へでた。その中年男は、慌てた様子で中へ消えた。
和己は鏡の前の洗面台で下着を洗った。固く絞り、また洗った。洗剤は備え付けのグリーンの液状の物を何度も何度も使った。固く絞り、ひらいてみた。そして臭いをかぐと、洗剤の臭いしかしなくなっていた。
やがて和己はリュックがなくなっていることに気づいた。下着をズボンのポケットに押し込むと、便所内をくまなく探した。大便所に入っている者にも声をかけてきいた。
和己の前に二十代女性が立った。女性は吊り革にぶら下がっている。化粧が濃いのか、香水をつけているのか、和己ははじめての化粧の臭いにクラクラとなった。そのとき、下半身に変化が起きたことを知った。これは、いまはじめてのことではない。以前から、何度も経験していることだ。風呂に入ったとき、湯をかけると、よくこうなる。
電車は大きなカーブをした。そのきと、吊り革女性の手が和己の太股に触った。そして、女性は顔を和己に近づけた。和己はパンツの中でなにかが爆発したことを知った。しかし立ち上がることはできなかった。それでも、余震があり、何度も何度も爆発した。
「すみません。」女性は恥ずかしいのか、小声で和己にあやまった。平静を取り戻した女性は、なにもなかったようにして、吊り革を持った。和己は焦っていた。<隣の人に臭いが流れへんやろか。ばれてないやろか。>と自身の失敗を恥じて処理を心配した。
やがて電車は阿倍野橋駅についた。両方のドアがあき、乗客は我先にとホームへでる。そして走りだすのもいる。和己はトボトボと歩き、糞をもらした子供のように歩いた。
便所の中で下着を脱いだ。予想したように、濡れて酷いことになっていた。トイレットペーパーを何重にも手に巻いて、下着の汚れをふいた。ある程度の汚れをとると、ドアをドンドン叩く奴に遠慮して外へでた。その中年男は、慌てた様子で中へ消えた。
和己は鏡の前の洗面台で下着を洗った。固く絞り、また洗った。洗剤は備え付けのグリーンの液状の物を何度も何度も使った。固く絞り、ひらいてみた。そして臭いをかぐと、洗剤の臭いしかしなくなっていた。
やがて和己はリュックがなくなっていることに気づいた。下着をズボンのポケットに押し込むと、便所内をくまなく探した。大便所に入っている者にも声をかけてきいた。