抵抗
和己はビクンビクンともんどりうって昇天した。和己の逸物の切っ先からは、勢いよく液が連発していた。「ひやあ元気やのう。」と男はなおも隠そうとする和己のタオルを勢いよくめくってしまった。

「綺麗に流しておけよ。汚いことはあかん。」男はわけのわからぬことをいった。和己は何度も湯を股にかけて、さらにシャワーを浴びせかけた。そうして、今度は熱い湯に肩までつかった。<人に触られると、あないにもなるねんやな。>とつくづく思いだした。

二人は一時間も風呂屋で過ごした。和己は顔がポッポッとなり、額から湯気をだした。二人はコンビニの前で立ち止まった。「喉が乾いたな。」男はぽつりというと、和己を外に置いたまま店内に向かった。しばらくして、「おい。なにをしてるねん。」と男に店内へ入ってくるようにと誘われた。

男は缶ビールを二本買った。和己の望みで缶コーヒーも二本買った。コンビニをでて、しばらく歩いた。「あそこに赤いのがみえるやろ。」「あれですか。」和己は道路の向こうにみえる小さな祠を指さした。

「あそこは元稲荷やねん。いまでも、地域の人はお参りするらしいけどな。昔は大きな稲荷神社やったらしいで。」和己は返事をするかわりに缶コーヒーを一口飲み込んだ。「飛田遊廓の女郎はみんなお参りしたもんや。」「お女郎さんですか。」和己はなぜか、お女郎さんといってしまった。「旭通りの青線、赤線のパンパンもお参りしたんやで。」「パんパンですか。」「パンパン知らんか。」「はい。」和己はまたもや缶コーヒーを飲んだ
やがて二人は商店街に進んだ。「みてみい、提灯がでてるやろ。あれが飛田遊廓や。」と男は立ち止まって説明した。和己もつくづくとその場所をみつめた。アスファルト道は打ち水によって真っ黒になっているらしい。「奈良にも昔はあったらしいな。」「ほんまなんですか。」和己は男の言葉に興味をおぼえた。「ほんまやとも、近鉄の大和郡山駅の近くは有名やんけ。それに、やっぱり近くに大きな稲荷神社があるんや。」と男は思いだすようにしていった。
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