雪に消えたクリスマス
・第一話 帰還
・プロローグ
 
「…麗、もっと、君の側にいたかった…もっと、君の笑顔を見たかった…。最後に、君の笑顔が見られてよかった…。君と一緒に過ごした時間…本当に、幸せだったよ…」
 雪が、降っていた…。
 息が、白かった…。
 かじかむ手が、微かに震えていた…。
 離れた唇だけが、あなたの温もりを教えてくれた…。
 でも、降りしきる雪は、そんなあなたの僅かな証さえも、私から奪ってゆく…。
 なにもかも、白く消された景色の中で、最後に聞こえた、あなたの言葉…。
 それさえも、今は白い雪に覆われてゆく…。 
あなたが残していったモノは、白い吐息と、土に汚れたワインボトルと、
そして…。


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