雪に消えたクリスマス
　俺とウララは、少しの間、黙って、辺りを散歩した…。
　俺もウララも、何から切り出して良いモノかと、言葉を探しているのだ。
　丘の上からは、街の夜景が一望できた。
　オフィスの灯りや、街灯、車のヘッドライトに、工事現場の証明…近くで見たら何でもない光が、ここでは宝石のように煌めいている。
　冷たい風が、ウララの髪の間をサラサラと流れて行く。
　二年前、ウララとケンカ別れした二年前も、丁度こんな感じだった。
　ウララは寂しそうな顔をして、少し遠くを見つめて…俺は黙ったまま、二人は別れた。
　その時は、それが永遠の別れになるなんて微塵も思わずに…。
　だから、俺は今『あの日』に立っていると思った。
　俺は、あの日言えなかった言葉を、あの日できなかった事を、今日やる…。
　そのために、俺は帰って来たのだから…。
「…ウララ…その…」
「謝らないで！」
　俺が、やっとの思いで口にした言葉を、ウララは遮った。
「…謝らないでよ…私は、創真に謝って欲しいために、ここに来たんじゃないんだから…」
　ウララの切なそうな顔が、やけに胸にしみる…。
「…創真は二年前で時間が止まっているのかもしれないけど、私は違うわ…二年前みたいに弱虫でも、子供でもないのよ！」
　ウララが、少し強い口調で話す時は、涙を堪えている時だ。
「私はねぇ、創真が突然いなくなって、世の中が真っ暗になった気がしたの…。でも、時間が経てばお腹がすくし、睡魔も襲ってくるのよ…過去にいつまでもこだわっていちゃ、前へは進めないと悟ったの！」
　俺は、そっと、ウララの肩に腕を延ばす、そして、そのまま優しく抱き寄せてみた。
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