雪に消えたクリスマス
 俺は、取りあえず最低限の生活が、送れる家にするのに、まるっと一日を費やしてしまった。
 本当は、こんなことをやっている時間などないはずなのだが…。
 その日は掃除だけすると、もはや何もする気が起きなくなり、俺は、今、コインランドリーから取ってきたばかりの布団で、眠りにつくことにした。
 洗ったと言っても、別に布団そのものが洗えているわけではないから、やはりかび臭さが残っている。
 しかし、昨日のソファーの上よりかは、遙かにましな寝心地に、俺は少なからず感動した。
 12月10日。
 昨日は、ベットで寝たせいか、その日の俺は、朝早くに目覚めた。
 と言っても、午前九時…。
 ま、俺にとっては早い方の起床だ。
 今日も、まだまだ片づいていない部屋の掃除が残っている。
 俺は、元気よくベットから跳ね起きた。
 ゴトッ!
 しかし、あまりにも元気に跳ね起きたためか、ベットの脇の本棚の上に積んであった荷物が、俺の頭に降ってきた。
「いって!」
 俺は、情けない声を出しながら、頭を押さえて必死に痛みに耐える。
 痛みが収まるのに十分くらいかかったが、俺は、なんとか起きあがると、今頭に降ってきた物の確認をする。
 まず、単行本だろ、大学で使う参考書…そして…。
 最後に見つけた物を手に取り、俺は、息を呑んだ…。
 それは、木でできた、小さな写真立てだった。
  
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