雪に消えたクリスマス
「君…名前は?」
 初めに話しかけたのは、俺の方から。
 だいたい、俺はこのコンパというヤツが嫌いだった。
 見も知らない男女が集まって、その日からお友達になりましょうだなんて、考えただけでも虫ずが走る。
 コンパに来る奴らにしても、実は彼氏や彼女がいるのだが、遊び相手として異性をキープし、あわよくば今知り合ったばかりの相手と寝てしまう…というような連中だ。
 そんな軽い考えで、お付き合いしましょうなど、俺は絶対に認めない。
 それに、コンパなど行かなくても、女に不自由した経験のない俺にとってみれば、実にくだらない行事だった…その日までは。
 確かに、恋愛には出会う場所が必要だ。
 それが、お見合いであれ、社内恋愛であれ、街中での一目惚れであれ、勿論、コンパであれ、その人によって、突然の出会いには違いない。
 その出会いの場所を、どこがよくてどこが悪いかなどと、一概には言えないのかもしれない。
 何故なら、その時俺は、運命的な出会いをしたのだから…。
 つまらない事ばかり喋る女共の中で、一人だけ、あえて目立たないように振る舞っている女がいた。
 俺にはすぐ分かった。
 彼女も、この場所に嫌々来たのだということが…。
 だから、声をかけたのだ。
 初め、彼女は、そんな俺を無視するかのように、自分のグラスにウーロン茶を注いでいた。
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