雪に消えたクリスマス
 そしてまた、彼女の顔に笑顔が生まれる。
 そんな二人が、心を通わせれるようになるまでに、たいした時間は必要なかった。
「なぁ…ウララ…?」
 コンパは終わり、みんな「それじゃ」と、帰路につく頃、俺は、ウララと一緒に車の中にいた。
 ウララを自宅へと送っていくことになったからだ。
「なんですか?」
 二人っきりの車の中、さすがに緊張しているのか、ウララの口調は、ですます調になっていた。
 俺も、変な緊張をしていて、なんでもないことが、上手く口から出ない。
「さっきの話だけど…」
 何でもない言葉を、もったいつけて言おうとすると、逆に何かあるのでは?と身構えてしまう。
「さっきの話…ってぇ、なんの話ですか?」
 車内に重い空気が張りつめる。
 ウララの自宅は、もう、すぐそこだった。
「俺が、コンパ初めてだって話…」
 俺がそう言うと、ウララは目をパチクリさせて、自分の記憶の中を探る。
「…あぁ、その話ですか…。なんか、秋月さんって、女の人と話するの慣れているみたいだったし、結構遊び人なのかなぁ…って。…ハハッ。ごめんなさい…いきなり失礼でしたね…」
 そう言うと、ウララは少し俯きかげんになった。
 その時のウララの顔は、コンパで最初に会った時のウララの顔と同じ、少しとっつきにくくて、薄幸そうで、今にも壊れてしまいそうな美人顔…。
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