雪に消えたクリスマス
第3話 俺の兄弟…
12月11日。
 家の中の掃除は、だいたい片がついた。
 さすがに、三日続けて掃除すればなんとかなるものだと思い、俺は家中を見渡す。
 もともと、家財道具などはほとんどない…この家の掃除に三日もかかるなんて、俺の手際の悪さを認めざるを得ない。
 最後に書類の整理が残っていた。
 整理と言っても、掃除の合間に出てきた重要そうな書類を引き出しの中に入れるだけだ。
 これにはそんなに時間はかからない。
 鼻歌混じりで、俺は書類を引き出しの中にしまってゆく…。
「おっ?」
 俺は、思わず声を上げた。
 それは戸籍謄本だった。
 勿論知っている事だと思うが戸籍謄本とは、戸籍原本の全てを写し取った物の事を云う…ちなみに戸籍抄本なら、原本の指定部分だけを写し取った物になる。
 つまり、謄本とは、本人が知りたかろうが、そうでなかろうが、関係なく真実が明記されている物なのだ。
 謄本には、現住所や家族構成が記してある。 父、秋月 泰代 母、秋月 香苗 ………養子、秋月 創真…。
 そう、俺は、この家の本当の子供ではなかった。
 俺がその事を知ったのは、二十歳の時。
 別に、だからどうという事はなかった。
 
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