雪に消えたクリスマス
 確かに久し振りの再会だが…その久しぶりの再会にして、この言われよう…俺って、まさか嫌われていたのか…?
 彼女の名は、萩 葉子、老けて見えるが、俺と同年輩で、大学時代のウララの友達だ。
「見ての通りさ…お前、ここで何してんの?」
 俺と葉子は、そこでしばし近況について話し合った。
 葉子は、順調に四年で大学を卒業したものの、職は決まらず、しかたなく、ここで働いているのだという。
「で?今日は何しに来たの?まさか復学?言って置くけど、秋月君の籍なら、もうないわよ!」
 自信満々に、それこそ顎まで反らして言い放つ葉子に、俺は深いため息をつかずにはいられなかった。
 例え、それが事実だとしても、もう少し柔らかい言い方はできないのだろうか?
 そう考えた後で、葉子がそんな事のできる性格ではないことを思い出した。
 きっと、就職が決まらなかったのだって、その性格が災いして、面接で落とされたに違いない。
 いっそ、そのことを葉子に言おうかとも思ったが、葉子にはまだ頼みたい事があるので、俺はそれを後の楽しみに取っておくことにした。
「…もっとも、そんなこと秋月君も分かってるか…それで、ウララにはもう会ったの?」
 葉子の何気ない一言が、俺の胸をチクリと刺す。
「…まだ…なのね?」
 俺が、首だけをコクリと動かすと、葉子は上目遣いで、俺を睨み、「フゥ」とため息をつく。
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