雪に消えたクリスマス
 俺は、葉子に手紙を託された後、彼女に見送られながら、事務室を出た。
 校内に設置してある自動販売機で、暖かい缶ジュースを買い、近くの椅子に腰掛ける。
 そして、今渡されたばかりの書類の中身を覗く。
 ウララが就職したのは、外資系の銀行のようだ。
 オットリとはしていたが、仕事とかやる事に関しては完璧を追求するウララらしい就職口だ。
 国内の銀行は、最近きな臭い話が多いが、外資系の銀行なら、今のところまず破綻する事はない。
 場所は………しめた!どうやら市内らしい。
 ふぅ~ん、ウララのヤツ、一人暮らしを始めたのか…住所が変わっている。
 アパートの名前と部屋番が載っているので、家族で引っ越したとは考えられない。
 記載にも、自宅の電話番号と、今住んでいる場所の電話番号が二つ書いてある所を見ると、まず、一人暮らしをしていると考えて間違いないだろう。
「ふぅ~」
 俺は、ため息を一つつき、書類を封筒の中に閉まった。
 これで、ウララの居場所は分かった。
 しかし、会うのが少し気まずい…。
 突然蒸発してしまったんだ…恨まれて当然。
 それに…もし、ウララが俺の事を忘れていたりしたら…?
 俺は、不安な予想を振り払うかのように、頭を振った。
 それにしても、葉子のヤツ、何だって、俺の兄弟の事を知っていたのだろう?
 二年も蒸発していたから、心配になった俺の顔も知らない兄弟が、俺を訪ねて来た…とか?
 
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