雪に消えたクリスマス
 トコトコと歩いて、自動ドアの前に立つ。
 ………開かない。
 たまぁに、センサーが故障しているかなにかの理由で、自動ドアが開かなくなる事があるが、何となく世の中から拒絶されたような気分になって、ひどくブルーになる。
 丁度そんな時、かなり太めのオバさんが俺の横を通り抜ける。
 今度は、さすがに自動ドアのセンサーも反応して、ドアを開く。
 あんなけ太っていれば、嫌でもセンサーが反応するのかもしれない。
 もし反応しなかった日には、自動ドアもただでは済むまいと危機感を覚えたのではないだろうか?
 俺は、内心ほくそ笑みながら、銀行の受付があるフロアに入った。
 外からはよく中の様子が見えなかったが、ここなら、店内の様子が一望できる。
 えぇと、ウララは…。
 俺は、おとなしく近くの店員にウララの居場所を聞こうかとも思ったが、いきなり来て驚かしてやろうと考えた。
 しかし、驚かすにしても、肝心のウララの姿が…………いた。
 貯蓄の窓口に、銀行の制服を着て、少し暇そうにしているウララの姿が俺の視界に入った。
 俺は、足音を殺し、抜き足差し足でウララのいる窓口に近づく。
 窓口の正面に立っても、まだウララがこちらに感づいた様子はない。
「…オホンッ。ここで口座を開きたいのですが…」
 
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