雪に消えたクリスマス
 俺の言葉に、驚いたように顔を上げるウララ。
 そして、俺の顔を見て凍り付いた。
 ウララは、そのまま、まるでお化けでも見るような顔つきで、俺の顔をジッと見つめる。
 そのままで、数分…。
そんなウララを、俺は笑顔で見つめている。
 ウララの表情が解凍されるまで、裕に五分はかかった。
「…え…創真…?創真なの?本当に、本物の創真なの?」
 ウララは、驚きを隠せないといった様子で、手を口元に当て、必死に何かを耐えていた。
 それは、やがて耐えきれずに涙となってウララの頬を伝う。
 手で顔を押さえ、必死に声を押し殺しているウララの頭を、俺は優しく撫でてやった…。
 ウララは、少し髪が伸びただろうか?二年前よりも大人っぽくなった顔立ちは、前にもまして美人顔だ。
 俺は、ウララをなだめてから、彼女の仕事が終わってから、ゆっくりと話し合う事にした。
 ウララは、俺に色々と質問があるという顔つきだったが、まずは仕事が終わってからと…ここら辺の生真面目さは、二年前となんら変わっていない。
 俺は、ウララの退社時間まで、近くを彷徨いて時間を潰した。
 午後五時半…ようやく、ウララの仕事が終わった。
 ウララは、職場から出ると、俺を捜して辺りをキョロキョロと見回す。
 俺が手を挙げてウララに知らせると、ウララは息を切らして走ってきた。
「ごめ~ん。待った?」
 ウララは、両手を合わせて、俺に謝罪する。
 
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