雪に消えたクリスマス
やがて、俺達のテーブルに、注文したパスタの皿が運ばれてくる。
「ウララ…パスタきたけど、食べれるか…?もし食べたくなかったら…」
「食べる」
 ウララはそう言うと、俺に顔を隠したままで、フォークとスプーンを使い、運ばれてきたパスタを食べ出した。
「ここのパスタ…うまいな…」
「うん」
 髪の毛で顔を隠していても、その合間から涙がこぼれ落ちているのが分かる。
「…少し、塩辛くないか?」
「…うん、大丈夫」
 俺とウララは、それから少し黙って、パスタを食べた。
 しかし、胸がいっぱいで、俺は半分以上食べ残した。
 それはウララも一緒だったらしく、結局、二人ともパスタは残してしまった…。
「…じゃ、俺、バイクあるから…ウララは車なんだろ?」
 帰り際、また重たい雪が降ってきた。
 結局、俺とウララは、話をせず仕舞いで、今日は帰る事にした。
「また明日、会ってくれるかな?今度はちゃんと話をしたいんだ…」
 俺がそう言うと、ウララはニッコリと微笑んで、それが、彼女の言葉の代わりだと言う事が理解できた。
 どんな時でも、別れのシーンが、一番辛い。 次の日会えると分かっていても、その日の別れにはなんとも言えない哀愁が立ちこめていて、どうしたらいいか分からなくなる。
 俺は、ウララを車が駐車してある場所まで送り、小さく手を振った。
 帰り際、ウララが耳を澄まさなければ聞こえないような声で、「なんで…」と呟いたが、その先は口にはしなかった。
 
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