雪に消えたクリスマス
元々は、米軍の軍隊などがよく使っていたものなのだが、芸能人がつけていたことから、日本の若者の間でもブームになった。
 モノは、銀や金やプラチナで作られた物主流で、中でも銀は、その価格と広い市場から、特に売れた一品で、俺のも銀製でできたモノだ。
 俺は、その答えに納得すると同時に、車の中から、小さなIDプレートが見える運転手に驚嘆した。
「わたし、視力は6.0なもんで…」
 これは、勿論運転手の冗談なのだろうが、確か、アフリカに住む少数民族の中には、視力が6.0を越える人間がいるというから、この運転手の話も、あながちバカにばかりはしておけないかもしれない。
「今日はいいよ…また縁があったら…な」
 俺は、丁寧に運転手の誘いを断ると、鉛色の空の下を歩き出した…。
 俺はその足で、駐輪場の方へ向かう。
 俺が二年前、この空港から発つ時、この駐輪場に、愛車のバイクをここに置いていったのだ。
 運が良ければ、まだ捨てられずに残っているかもしれない…。
 俺は、バイクの鍵を握りしめて、かじかんだ手に、「ハァ~」と息を吹きかける。
 手は一瞬だけ暖かくなったが、すぐに冷え、息で水分が増したため、余計に冷たくなる。
 俺は、馬鹿なことをしたと、内心舌打ちしながら、目指す駐輪場へと歩いた。
 冬ということもあって、駐輪場はひどく寂れていた。
 みんな、この寒空では、自転車に乗る気も起こらないらしい…。
 俺は、半分さび付いたような自転車達を見つめ、何かもの悲しい気分になる。
 近くには、原付のタイヤが外されて転がっている。
 もしや、俺の愛車も…。
 
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