雪に消えたクリスマス
 何月何日?そんなこと、ハッキリと覚えていることができるものだろうか?
「う~ん、正確な日取りなんて覚えてないよ。俺も、いろいろと大変だったんだから」
 そう言って、とりあえずはその場を濁しておく。
「………そう」
 麗は、納得いっていない様子だったが、俺にしても、それ以上は答えられないのでしかたがない。
 誰だって、正確な日取りとなると、中々覚えていないのが普通なのではないだろうか?
「ねぇ、二年間の間、どこで、何をしていたの?」
 麗は再び同じ質問をしてきた。
 女のというものは、どうもしつこくていけない。
 何を不安に思っているのかは知らないが、こうもしつこくされると、こちらとしても、少々苛立ってくる。
「さっきも言っただろ?世界各国をいろいろ見て回ってきたの!」
 俺の、少々強い口調に、麗はビクッと身を震わせる。
「あ…ごめん……その、どこ?ホラ、国名とか…」
 その質問には、すぐに答えてやろうと、行った地名を思いだそうとしてみる。
「…………………」
 あれ?言葉がでない…。
「創真………?」
 心配そうな顔で、麗が俺の顔をジッと見つめている。
 考えると頭が痛くなってくる。
 俺は、この二年の間………どこで…………何を……?
 激しい頭痛の中、俺は一瞬、激しく降り注ぐ雪の景色を見たような気がした。
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