雪に消えたクリスマス
「創真………あなたやっぱり…………うぅん、なんでもないよ………ごめん。変な事聞いちゃったね。さ、デザート早く食べちゃお」
 そう言って、麗は目の前にあるチョコレート・ケーキにパクついた。
「あ、あぁ……」
 歯切れの悪い思いを胸にかかえながら、俺も、目の前に運ばれてあるデザートを口に運ぶ…。
 俺はいったい………?

 12月18日。
 今日も、ウララと食事の約束をしている。 いつものように、パスタ屋さんに足を運ぶ俺と麗。
「えぇと、ターキーとバジルのクリーム・ソースパスタをハーフ・サイズで…」
 俺が、ハーフ・サイズでパスタを頼むと、ウララは少し驚いた顔をして、俺の顔を覗き込む。
「ハーフ・サイズで大丈夫なの…?」
 ウララが心配そうな口調で、俺の事を気遣ってくれる。
「最近、胃の調子が悪いような悪くないような…って感じだからさ…」
 俺はそんなウララを曖昧な言葉で誤魔化した。
 毎回、行くパスタ屋は違っていたが、そろそろパスタにも飽きた頃だ。
 ウララは、怪訝そうな顔をしたが、どうせ言っても俺が聞かないと言うことを知っているので、それ以上の質問はしてこなかった。
 しばらくすると、テーブルに注文したパスタの皿が運ばれてくる…と、その時。
 ティラリラリラリラ!ティラリラリラ!
 と、大きな音を出して、ウララの携帯が鳴り出した。
 しかし、ウララはその鳴り出した自分の携帯電話をとろうとしない。
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