雪に消えたクリスマス
 ウララは、俺の「友達?」の質問に、ちゃんとは答えなかった。
 ウララは通話を切ると同時に、携帯の電源まで切った…。
 それは、二人っきりでいられる時間を邪魔されないため…と思いたいが、この場合、またかかってきた時、今度こそ俺の追求を受けてしまう事への防止策と考えた方が自然だ。
 電話の相手は、いったい………?
 俺は二年間、ウララを放っておいたのだ…その間に、ウララに新しい男ができていたとしても不思議はない…。
 でも、ウララに俺以外の男…?
 考えられない…。
 何故なら、ウララは俺以外の男は受け付けない体質だから…。
 俺だけが、ウララの本質に気づき、俺だけがウララに優しくし、俺だけが、ウララの理解者だから………。
 ………その筈だから。
 俺の頭の中は、疑心暗鬼でいっぱいだった。
 今日、ウララは何をしているのか?誰かと会っているのか?その相手は………?
「………ふぃ~」
 俺は、思わず声を上げた。
 考えてもしかたがない。
 今の俺には、なす術がないのだ。
 今日はおとなしくして、また、明日にでも考えればいい…。
 俺は、いつものようにバイクに跨ると、雪がちらつく凍った街の中を走り出した。
 
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