雪に消えたクリスマス
 そんな筈があるものか!
 俺は一生懸命に頭を振って、その可能性を否定しようとする。
 しかし、ここで可能性を論じていても、いつまで経っても堂々巡り。
 それに気がついた時、すでに俺の体は動いていた。
 バイクに跨り、くねった坂道を一気に下る。 そう…俺は、ウララ本人に確かめに行く事にしたのだ。
 本当にウララは、その男と?
 一生側にいる…二人で誓い合った言葉は嘘だったのか?
 色々な思いが交錯していた。
 激しい吹雪が行く手を塞ぐ中、俺は、白い息を吐きながらアクセル・グリップを強く捻る。
 後は只、俺の予想が、単なる杞憂に過ぎない事を願うだけだった…。
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