不良
それから約10分。


橋本とたわいもない話をしていると、稲垣が唸りはじめた。


「う………うぅ……ん」


そんな声に俺はびびった。

しかも橋本に笑われたし。

「こいつ起きんのか?」


俺は稲垣の頬をつつく。


「さぁ」


反対側から橋本も頬をつつく。


「うぅーん…………。かぁさーん…………」


稲垣はそんな事を言うと、寝返りをうった。


『おかあさん』と言う思わぬ単語に橋本も俺も笑ってしまう。


「うわ。コイツマザコンじゃん」


笑いながらまた頬をつつく。


「ね!」


橋本も同意しながら反対側の頬をつつく。


そんな事をしていると、とうとい稲垣の目がパチっと開いた。


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