ラスト・メッセージ
言い訳をしてるのを美樹に聞かれたくなくて、俺は個室を出た。

「ごめん、急にプロデューサーの石井さんに誘われちゃってさあ?

どうしても断れなくてさぁ…。」

石井さん、ごめん。
稟に初めての嘘をついた…。

しかも、バレたら取り返しがつかなくなるかも知れない嘘を……。


「だったら、言ってくれたら良かったのに……。」

かなり、トーンダウンした稟の声に、酷い罪悪感をおぼえた。

「わりっ。急だったから、電話する時間なくて…。」

「そか…。

じゃあ仕方ないよね。明日、テレビ局?」

「ああ。朝の10時入りだよ。」

「頑張ってね。

おやすみ。」

「ああ。おやすみ。」


虚しい機械音が響く

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