あなたじゃなきゃ

2ハグッ目








あっという間に月日は流れた。






もちろん記念日は毎月毎年欠かさないし



クリスマスだって



それぞれの誕生日だって



ずっと一緒にいたけど







何よりも今日は



裕亮のご両親に会いに行くから



とてつもなく緊張してるっ




「んな緊張すんなよ(笑)」



大学生になった夏休みに車の免許を採った裕亮とレンタカーで裕亮の実家に向かう最中に言われた



「でも……


両親がいない子が彼女なんて嫌なんじゃ…」



しかも両親のうち1人は義兄に殺されてるなんて知ったら…



「俺は、言いたくないことは言わなくていいと思う



両親がいなくたって明日香は周りのどのやつらよりもしっかりしてるから大丈夫だ」



「………うん」



「俺の両親は、人を見る目だけはあるんだ




俺をばあちゃんに預けたのだって、ばあちゃんを信用してたからだし、俺もばあちゃんで良かったって心底思えるしな」



「……そっか


なら、会えるの楽しみにしてる」



「あぁ」





裕亮の口調は穏やかだった






「着いた」



え!?



「降りて」



「あ…うん」




裕亮が佐藤という表札の横に付いていたインターホンを押すと中から


「はーい」


という声が聞こえた



時刻は21時を回っていた



裕亮は「このくらいの時間じゃねーと会えねぇんだ」



って言ってた





ドアが開いて中から人影が現れた




「裕亮?」


「ただいま」


「お帰りなさい!!



あら…その子が……?」



ドキッとした


「そう」


「岬明日香です!


裕亮くんにはお世話になってます」



裕亮に言われる前に自己紹介をした

お母様に好かれるため!






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