平和という呪縛
屍の礎

紅煉の鞘

 命は尽き、屍が道を示す。

 今ある世界は、数知れぬ先達の志がもたらした一つの結果だ。

 錆びた刃を振るい、力尽きた先達は、心を預けた者に刃を託す。残る者は、高ぶる紅煉の鞘に刃を抱く。

 預けるべき鞘のない刃はやがて砕け、争いを呼ぶ。

 人は誰も、刃を預ける術を知っていたはずだ。
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