セピア

　周りをキョロキョロと見回しながら花梨は李に質問をしてみた。
「此処はいったい何処なのですか？そして今此処は何時代ですか？」
　と花梨は恐る恐る李に聞いた。

「うっふっ。そうね。時代的には紛れもなく昭和初期ね。でもそれ以前に此処は如（し）いて言えば死後の世界かしら？」
　とそう李ににこやかな顔で言われて花梨はゾっとした。

「えっ？！って事は私死んだの？！っていつ何処で？」
　と花梨は暫（しば）し驚きで固まってしまった。

　「なあ～んてね。花梨ちゃんは今朝、交通事故に遭（あ）ってこの現実と死後の狭間（はざま）のスピリチァルな世界に迷い込んで来たのよ。でもってあなたの守護霊の一人であるこの私の元へと辿（たど）り着いて来たって訳」

　とそう言われて花梨は少しずつ思い出した。
そうなのだ。花梨は確かにいつものように朝家を出て会社に向かっていた。