セピア
 でもそれがキリッと知的なイメージの李の性格を的確に現しているようにも見えた。
「あっ、ちなみにこの柄はキャンパス・蓮って言う名前の柄よ」
 と李は言った。

「ちなみに花梨ちゃんはどの柄の着物が気に入ったのかしら?」
 と李は花梨に聞いた。

「はい。じゃ私はこの木綿素材のピンク地のうるわしつばきの柄の着物にします。だってこれとっても可愛いし綺麗な柄なんですもの」
 と言って花梨はキチンと畳まれた綺麗なピンク色の椿の花柄の着物をハラリと持ち上げて、立ち上がった。

「まああなたの可愛いさがより引き立つ柄ね。花梨ちゃんそれきっとあなたに良く似合うと思うわよ。じゃ私早速それに合う長襦袢(ながじゅばん)と帯を出すわね」
 と李は満面の笑みを浮かべながら隣の部屋に小走りで駆けて行った。

 花梨は普段あまり着物を着る機会がない。せいぜい夏祭りに浴衣を着る位である。
この前こんな感じの本格的な着物を着たのは成人式の時だったろうか?と花梨は心の中で小さく呟いた。
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