セピア
 花梨は今、26歳でまだ結婚相手もいなければ結婚の予定もない。だけど家には狭いながらもプライベート面がしっかりと守れる学生時代から親に与えられた鍵付きの自分の部屋もある。それに別段これと言って家族間でのトラブルもなく居心地が悪いと言う事もない。
 それにありがたい事に家には私の大好きな曾(ひい)おじいちゃんがいて、その曾おじいちゃんが花梨の事を小さい頃からとてもかわいがってくれてやさしくもしてくれる。そんな環境なので今迄もそうだったように多分これからも当分は一人暮らしをする事など花梨には到底考えられないのだ。だからこの恵まれた環境の中から飛び立つのは、この先運良く結婚相手が見つかって結婚をし、旦那さんになる人と新居を構えて生活を始める時なんだろうなーと花梨は漠然と思っている……。

 が、しかしそんな恵まれた環境の中にいてさえも花梨には悩みがあった。
ちなみに親に隠れて多額の借金があるとか、難病を抱えているからと言う類(たぐい)の切羽詰まった悩みではない。
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