セピア
 外に出て李に手を引かれ暫(しばら)く歩くとガラリと景色が変わった。
街並はレトロな昭和初期そのものである。まるで花梨は昭和初期にタイムワープしたかのような錯覚に陥ってしまった。

 その思いは李の部屋の中にいる時よりも遥かに花梨を驚かせた。
時を駆ける少女。確かあれはアニメ映画だったろうか?『タイムリープをして、過去に戻りその事をなかった事にするお話だった……。
だけどタイムワープとタイムリープの違いってどう言う事だったっけか???まあ同じ意味なんだろうけれど』でもこの場合は少し違うらしい。

 李さんによると此処は生と死の狭間のスピリチァルが存在する世界なのだと言う。が、しかし何故に昭和初期なのか?
昭和初期の時代と言えば李さんは確か娘時代だったはず。なのに此処にいる李さんは死んだ当時の年齢のままなのだ。

 なので花梨はその疑問を李にぶつけてみた。
「ねえ李さんちなみに此処は昭和初期の時代ですよね?どうしてこの時代に李さんはいらっしゃるのですか?」
 と、そう花梨に聞かれた李は
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