サクラのエリコ
このフロアにはパソコンがおよそ40台ほど。ほぼ全てのパソコンにスタッフが張り付いている。しかも9割が男だ。

これが出会い系サイトのサクラなのだろうか?
という事は男性会員のほとんどが男性の演じる女性にラブメールを送っている事になるのではないか?


「うわああキモッ」


カスミの紹介でなければ、口に出してその場で言ってしまいそうだった。


「お、カスミちゃんオハヨー」


「おはようございまーす」

サクラのリーダーっぽい男がカスミに声をかけると、その場にいたスタッフが次々と挨拶を口にした。
意外と皆明るいようで、エリコの持っていたイメージとは随分違った。




ところで先ほどから男性スタッフの視線が痛い。みんな見てないようでチラチラとこちらを見ているのがわかる。


エリコの容姿は自然と男を惹き付けるものがある。カスミもかなりの美人なため、二人が並ぶとその場所だけ別空間に感じられる。

童顔で甘い顔のエリコと、鼻筋の通ったクールな美人タイプのカスミ。

対照的な印象を持った二人なのだが、それがまたお互いの魅力を倍増させている。



「おはようございまぁす(はーと)」


反射的にエリコは営業用ボイスで言った。
大きすぎず、小さすぎず、甘えた感じで、トーンはエッチの時に出す声に近い。

もちろん語尾にハートを付ける気分で。

これがエリコの先制攻撃用武器だった。
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