サクラのエリコ
「できたよ〜」


プロフィール入力画面からサクサクっとデータを入力するエリコ。
つい最近までネットゲームにはまっていたのでタイピングの速さはばっちりだ。


「はやいね〜、ちょっとまってて」


カスミも通常のサクラ業務をしながらの講習である。
一度に複数の男性とメールのやり取りをするのだから集中力もそこそこ必要であった。


「おうおう、硬いとこ作るわね。看護婦とか美容師とか…さすがツボを
得てるじゃん」


「ようするに男はコスプレ系に弱いんですよ」


「さすが。そっちに関しては熟練ですわね」



普段の生活とは別の世界にいるイメージのある職業。身近だが触れ合う機会は少ない。
そういう女性の制服に男は潜在的に惹かれるのであろうか?

要するに現実逃避がしたいというか、異性に妄想や非現実感を求めるのは男も女も関係ない。


ただ男の場合、女性に比べて恥じらいが薄い分露骨に反応するんじゃないだろうか?




自分で作ったイメージというものは他人から傷付けられにくい。


人間は自分で作ったイメージを信頼してしまう傾向があるからだ。


それはすなわち他人から利用されやすい。


TVなんかがいい例だ。

TV側が素材を提供し、ファンがイメージを脳内で固める。
あとは素材を提供し続ければファンは勝手に夢中になってくれる。


キャラを「演じる」ことによって素材を提供し続けるのはエリコの経験上簡単な事だし、それを利用するのは得意中の得意であった。
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