サクラのエリコ
「うーん」


そのメールを見てカスミは唸った。
その後数回のエリコの受け答えもチェックする。


「どう?」


「うん、変だ(笑)」


「そのまんまかよ(笑)」


「他社サイトの探りか、もしくは散々サクラに騙されたやつか」


「騙されたやつ?」


「いるのよ、逆恨みしてサクラを逆に引っ掛けようとするバカ。こっちには登録時の情報があるからすぐにバレるんだけどね」


逆恨みとはまた、騙してるから恨まれるのは当然なのだが。
しかし実際にこんな客はたまにいる。



「まあ、なかなか上手い返事の仕方してるね」


疑ったりからかおうとする相手への対処法は無視かとぼけ倒す事だ。
前者は仕事にならないので、この場合後者が無難だろう。

エリコはもちろんとぼけまくるどころか、逆に相手に質問するようになる形でメールのやり取りをしていた。
これは一番上手いやり方だった。


男は大概語り手になりたがる。だから質問・聞き手にまわれば自然と会話は長引く。
エリコはキャバで身につけた技術を完璧に応用できていた。



「業者にしろただの変態にしろ様子みましょ。金払ってくれれば問題ないし」


まぁ確かにそうだ、と今日はおつかれモードに頭を切り替えたエリコ。


「お疲れさまでーす」


カスミと共に会社を後にした。

仕事モードとプライベートモードを完璧に切り替えられるのは仕事に疲れないコツだ。
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