サクラのエリコ
「おっまったせー」
カスミは缶コーヒーを片手にビルから出てきた。
もちろんそこにエリコの姿があるものだと思っていたが…。
しかしエリコはいなかった。
バタン、と乱暴に車のドアが閉まる音。
そちらに目をやると、いかにもチンピラが乗りそうな派手なバンが走りだすところだった。
チョッパ!
何かに遮られているかのようにかすかにエリコの声が聞こえた。
その瞬間、走りだすバンの窓に暴れるエリコの顔が見えた。
「エリコ!!」
カスミはとっさにバンに向かって缶コーヒーを投げつける。
まともに後部座席の窓に直撃、蜘蛛の巣のようにヒビが入った。
一瞬驚いて運転手がブレーキを踏む。しかし助手席にいた女らしき人物が促すと、バンは再び発進し夜の新宿に消えて行った。
カスミは助手席の席の女の鼻に、不細工な大きな絆創膏が貼られていたのを見逃さなかった。
カスミは缶コーヒーを片手にビルから出てきた。
もちろんそこにエリコの姿があるものだと思っていたが…。
しかしエリコはいなかった。
バタン、と乱暴に車のドアが閉まる音。
そちらに目をやると、いかにもチンピラが乗りそうな派手なバンが走りだすところだった。
チョッパ!
何かに遮られているかのようにかすかにエリコの声が聞こえた。
その瞬間、走りだすバンの窓に暴れるエリコの顔が見えた。
「エリコ!!」
カスミはとっさにバンに向かって缶コーヒーを投げつける。
まともに後部座席の窓に直撃、蜘蛛の巣のようにヒビが入った。
一瞬驚いて運転手がブレーキを踏む。しかし助手席にいた女らしき人物が促すと、バンは再び発進し夜の新宿に消えて行った。
カスミは助手席の席の女の鼻に、不細工な大きな絆創膏が貼られていたのを見逃さなかった。