サクラのエリコ
バイクはカブキ町のとある店の前で停止した。
派手だが品のある店構えが、そこが高級なキャバクラである事を伺わせた。


「こんなとこでいのかい?」

バイカーは怪訝そうに言う。


「うん、ほんとにありがとう!」


「まだこれから追うんじゃないのかい?ここで待っててやるよ」


「いいの?ありがとう!」


そういってバイカーにヘルメットを渡すと店の入り口へ走った。



キャバクラ「クリステン」


言わずもがな、エリコが一年間No1として勤めていた店である。


当然、店の前にいた黒服が走り込んでくる少女の前に立ちはだかった。


「どけオラァ!」


思い切り急所を蹴り上げるカスミ。
声にならないうめき声を上げてその場に蹲った。

店の奥に入るまで何度か衝突があったようだがカスミは怯まない。


「マネージャーいる!!!?」


尋常じゃないカスミの怒声にマネージャーがオフィスから飛び出してきた。


「なんだおまえ?」


「結花って女いる!?」


「はぁ?今日は休みだよ。っていうかおまえなんだよ?営業妨害だぞ!」


「やっぱり...エリコが拉致られたんだよ!その結花ってやつに!」
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