サクラのエリコ
「おいおい、あんま顔に傷付けるなよ。萎えるじゃねえか」


男の一人が言った。


「萎える顔で悪かったわね!!」


結花が顔を真っ赤にして怒鳴る。もはやキャバ嬢に見えない、ただのチンピラだ。


「いや、別にお前の事言ってるわけじゃ…」


「どうでもいいわよそんなこと!」


そう言って結花はエリコの髪を掴んで顔を上げさせた。




「いてぇよ!一反もめん!!」


たしかに結花の顔の絆創膏は一反もめんに見えた。


「いい、これからこいつらにアンタを輪わさせてやるわ。その後鼻の骨折って裸のまま新宿に放りだしてやるから!」


怒りに声を震わせる結花。
エグイ事をいう。どれだけ歪んでいればこんな事が思いつくのか。


しかしピンチ、近年まれに見るえまーじぇんしーだ。
とりあえず時間を稼ぐしかない、エリコは頭をフル回転させる。
しかし殴られた痛みで頭がクラクラする。
額から流れた血がジーンズにポタリ、と落ちた。




「悪く思うなよな。恨むなら結花を恨めよ」


そう言って五人の内、リーダー各らしい男が上着を脱いだ。肩から上腕にかけてっびっしりと刺青が入っている。
エリコの首筋に鳥肌が立った。


おもむろに他の男がエリコを羽交い絞めにした。
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