サクラのエリコ
「まじやべえわ〜」


このまままっすぐマンションに帰るのもまずい。警察に通報されていたら真っ先におまわりさんが来るだろう。
そこまでアホでもないエリコは、とりあえず親友のカスミに助けを求めることにした。



ありったけのストラップを付けた携帯をバッグから取り出す。


着信アリ。


マネージャー 16:32 30秒
マネージャー 16:33 30秒
マネージャー 16:34 30秒
マネージャー 16:35 30秒
075881XXXXXX 16:35 02秒
マネージャー 16:36 30秒


何かの呪いのように留守電に切り替わるまでガンガンにかかってきた様子が伺える。


...一個だけワンギリがあったのが悩ましい。





これはちょっと本気で雲隠れしよう...


慣れた手つきでカスミの電話番号を探し出す。

私用の携帯の通話履歴はほとんどカスミなので呼び出すのは簡単だ。


トゥルルル…


「もしもーし」


「カスミ?エリコだけど〜」


「ただいまバイト中でぇ〜す、御用の方は...」

留守電に話しかけてしまった恥ずかしさ。

誰に向って恥らうわけでもないが、思わず通話を終了した。


エリコはあまり留守電が好きではない。
なぜかと聞かれると、なぜだろうとしか答えられない。

とりあえず好きじゃない。

恐ろしく早い指使いでメールを作成する。

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緊急!タスケレー(;´Д`)

byエリコさま
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律儀なカスミならメールに気がつけばすぐに返事をくれるだろう。

そういえば今日は木曜、最近始めたバイトが入ってると言っていた気がする。

とりあえずカスミから返事がくるまで個室のある漫喫で身を隠そう。


エリコは早足で駅のの東口方面へ向った。

ワン○ースの新刊でてたっけなあ。
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