サクラのエリコ
ガチャガチャ


一瞬場の空気がピン、と張り詰めた。


倉庫の入り口からだ。


ガチャガチャ


明らかにドアのノブを揺する音。


「……?」


男達は再び顔を見合わせる。



ドガキャッ


音の主は気が短いのか、力任せに鍵をぶち壊そうと試みたらしい。


カスミだ。


カスミが助けに来てくれた!エリコの青ざめた顔に精気が戻る。


「なんだ?」


「ヒロシじゃねえか?そろそろ来る頃だ」


6人目が来る予定があったのか?
希望が一瞬にして縮む。


「見て来い、ヒロシなら鍵開けてやれ」


エリコを羽交い絞めにしていた男が入り口へ向う。


「で、その話はほんとか?おまえマジで400万払えるのか?」




「ウソだよバーカ!!」


エリコは思いっきりカカトで刺青男の脚の甲を踏みつけた。
よく女性用の護身術で相手の股間を蹴り上げろ、とあるが的が小さいので格闘技経験でもなければ実は難しい。
男だって護ろうと必死になるし理想的ではない。
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