サクラのエリコ
よし、扉まであと数メートル。


ガチャ、っと鍵の壊れた扉が開いた。


そこからぬっと姿を現したのは…


カスミとは似ても似つかぬ金髪坊主の派手なシャツを着た男だった。
チンピラ科チンピラ目チンピラ。

紛れもなくあいつらの仲間だ。

エリコは覚悟を決めて突進した。




こいつさえやり過ごせばなんとか逃げられる。
中学時代真面目にバスケやってたかいがあった、まだ脚力は衰えていない。





しかし坊主頭の男は簡単にエリコを捕まえた。
ひょいっと小脇に抱えるように片手で押さえ込んだ。


「離せー!バカ!この坊主バカ!うわっなんか生臭ぇ、触んなバカ!」


「バカっていうな!義務教育はうけたわ!」


思ったより高い声の坊主頭。しかし話し方が本当にバカっぽい。


「とりあえず手が生臭ぇ!離せバカ!」


「仕方ねぇだろうが、釣りしてるとこ無理矢理駆り出されたんだからよ!」


「知るかバカ!ハゲ!バカ!」


「このアマ…おまえエリコって女で間違いねぇな!!」


「呼び捨てにすんな釣りバカ!」


「バカのバリエーション増やしてんじゃねぇ!」
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