サクラのエリコ
知らないのは当然だった。エリコの未成年騒ぎは、店内ではマネージャーと結花だけの秘密だ。わざわざ未成年を雇っていた事を漏らすバカもいない。




もちろんこの会話の横で気絶しそうになってるのはマネージャーだった。


「オィィィィ!!マネージャー!どういうこっちゃ?!エリコは実家の母親が病気になったから辞めたとか言うとったな??説明せんかい!」


衝撃波に似た怒号が店内に響き渡る。
マネージャーの意識はすでに50%ほどしかない。


「あいつの両親とうの昔に死んでいないわよ。私は行くわ、じゃあね」


カスミは相変わらず臆することなく言う。


「おお、まてまて。それは後にしよう。で、お嬢ちゃんそのエリコちゃんを拉致ったバンのナンバーとか特徴覚えてるか?」


鮫島はそう言いながらどこかに電話をかけ出した。



「え…?」


「ナンバーだ、覚えてないなら特徴とか、色とかあるだろう」


「ナンバーは品川XXX−XXX、色は白。リアウインドウに私が投げつけた缶コーヒーでヒビが入ってる」


「ホッホ、完璧じゃねえか。ナンバー覚えた上にガラス割るたあ、本当に根性座ってるな」

鮫島の携帯はどこかに繋がったらしく、彼は手短に相手に状況とナンバーなどを伝えた。
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