サクラのエリコ
カスミのバイトは22時頃までだったはず。
なんだかまた怪しいバイトを始めたって言ってたっけ。


エリコはホストのキャッチをかわしつつ、漫喫にたどり着いた。

22時までの数時間、がっつり漫画を読むつもりで3時間お得パックを頼んだ。


そういえばココ最近漫画を読んでいない。

昼夜逆転の仕事になってから余裕がなかったな、と暗い階段を昇りながら思った。




運よくお目当ての海賊漫画は誰も読んでいなかった。

こんなに新刊でてたのか!とまずは3冊ほど鷲づかみにし、個室に立てこもることにした。


むやみに豪勢なソファーに体を沈め、フーッとため息を付く。

ああ、ドリンクバー…と思うと同時に跳ね起きる。


半分以上氷の入ったコーラを準備すると、今度こそとばかりにソファーに飛び込んだ。


...ゾ〇かっけ〜


一冊、二冊とむさぼるように読むエリコ。
ふと時計を見ると19時を過ぎている。


この調子じゃ22時なんてすぐだろう。




突然ブブブブ、ブブブブ、と携帯が震える。


マナーモードにしてあるものの、バイブが振動する度にありったけのストラップがジャジャジャジャ、とテーブルを激しく叩く。

着信音より耳障りだ。


一瞬ビクッとなりながら虫を叩くようにバシッと携帯を掴む。


カスミか?

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件名:今すぐ会えますか?

本文
主人が単身赴任で寂しい思いをしています。
だめだと解っていても体の疼きを止められなくて...
大人の関係で会えませんか?
http:xxxxxxxxxxxxx

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死ねばいいのに。


と言う意味の篭った舌打ちをすると、携帯をバッグに放り込んだ。


出会い系サイトの迷惑メールは本当にうざい。
明らかに男性向けのメールが平然と女の園に飛んでくる。


どんな奴がこんなメールを打ってるんだろう?


こんな事をして儲かるんだろうか?


そんな疑問が浮かんだが、すぐに漫画の続きに掻き消された。
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