サクラのエリコ
キキッ


「エリコ!」


表でバイクのブレーキ音がしたのとほぼ同時にカスミが飛び込んできた。


「あ〜んちょっぱ〜!」


思わず抱きつくエリコ。


「よかった!無事だったのね!」


「あんたが鮫島のパパに知らせてくれたんだって?」


「うん、そのつもりじゃなかったんだけど…クリステンにこの一反もめん女の居所聞きに行ったら…」


「この野郎、コケにしやがって…」


残った男たちはポケットからナイフを取り出した。頭に血が昇った様子で切っ先をエリコに向けた。


「いい加減にしやがれ!」


慶一郎がそう言うよりも早く、カスミが地面を蹴って飛び上がっていた。


グシャ


鈍い音が聞こえた。カスミの飛び蹴りが男の顔面を破壊した。
無残に歪んだその男の顔を見て、
残った最後の一人は一目散に逃げ出した。

結花一人を残して。


「仕返し失敗のようね」


仁王立ちのカスミに睨まれ、結花は言葉も発せずにその場にしゃがみ込んでしまった。
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