サクラのエリコ
「さて、どうしたもんかいな」


まもなくして、鮫島とその一家が現場に駆け付けた。全員で囲むようにして正座して震えている結花を見下ろす。

結花の雇った男たちは全員拘束され、結花の後ろに同じくして正座させられている。もちろん逃げた一人もすぐに捕まり、その中に連れ戻されていた。
そしてなぜかマネージャーまで正座させられている。

「結花、堅気の女がヤクザの真似事か?えらい舐めた事してくれたな」


鮫島の口調は緩やかだったが、結花達を頭から抑えつけるには充分な威圧感があった。


「……」


もはや恐怖で結花の喉は締め付けられ、言葉を発する機能を無くしている。
ただひたすら体を震わせ、必死で涙を堪えている。


「エリコちゃん、おまえが決めるかい」


「え?」


「被害者はおまえだ、おまえの気がおさまらないって言うならこいつら沈めるなりなんなりワシらが処理してやる」


「い、いいですよーそこまでしなくても」


「そうはいかん、ワシらの商売は舐められたら終わりだ。舐めた事されたら落とし前はつけささんと、他に示しがつかん」


「うーん」


エリコは震える結花を見下ろしたが、結花は目を合わさずうつむいていた。


「結花、あんたさーなんでいい年してチクるようなことしたの?あんたバカなんだからさー、今までもことごとく私を陥れようとして失敗したじゃない」
< 52 / 63 >

この作品をシェア

pagetop